Silver Running AES/EBU、USBケーブルレビュー 広島県在住Y様

◆オーディオシステム

P-0S(ESOTERIC)、MacBookPro→MPS-5+USB-XⅡ(PlaybackDesigns)、

MIMESIS 20ME Limited(GOLDMUND)→

L-1(CH Precision)→Model8SP(Jeff Rowland)→Q3(Magico)

この度、Silver Runningのデジタルケーブル(AES/EBU)とUSBケーブルの新型が出たということで、取り急ぎお借りしました。

自宅のシステム、P-0sからDAC(MPS-5、MIMESIS 20ME Limited)へ接続し、試聴いたしました。

現在使用しているNORDOSTのVALHALLAとの比較になります。

まずSilver Runningの能力に驚きました。VALHALLAはデジタルケーブルの中では非常に評価が高いのですが、それと同等以上の表現力を持っています。VALHALLAは圧倒的な情報量で曖昧さを廃したハッキリクッキリ系の立体感のある抜けの良い音質ですが、シルバーランニングも情報量は全く負けていません。上も下もすべて出し切ったようなワイドレンジさがあり、VALHALLAよりも潤いがあり、フワッとした音の広がりがあります。女性ボーカルやクラシックを聞く分には間違いなく、VALHALLAよりも優れています。手嶌葵 「Collection Blue」のピアノとボーカルの「月のぬくもり」、オーケストラの「テルーの唄」を聞くとすぐに理解できます。音の分離、解像度と柔らかさが両立した音、一言で言うとVALHALLAよりも自然な音なのです。接続して早々にこんな結果が出てしまい、驚いたのですが、3日経つとさらに情報量が増してきました。立体感といった音場表現においてものVALHALLAと同等もしくは上になってきました。シルバーランニングと両方所有して、音質の違いを楽しもうと思っていましたが。こうなってしまっては、VALHALLAは必要なくなってしまい、すぐに売却してしまいました。

 その後、名誉挽回ということで、今度はVALHALLA2をお借りして、1週間、比較試聴をしました。VALHALLA2は1と比べると非常にバランスよくまとめられており、抜けの良い高音が特徴だった1よりも、その特徴も残しつつ、中低域も充実しより使いやすくなっています。この比較だと、性能はほぼ同等であり、あとは好みの差になってきます。VALHALLA2は音の輪郭をきっちり捉え、メリハリある表現を得意とします。シルバーランニングは音の微細まできちんと出し切り、VALHALLA2よりも柔らかい表現を得意とします。いづれにしても甲乙つけ難い逸品であるのは間違いありません。ただ値段がシルバーランニングの方がはるかに安く、コストパフォーマンスでVALHALLA2は勝負になりません。

 USBケーブルについては、MacBookProからDAC(MPS-5+USB-XⅡ、MIMESIS 20ME Limited)へ接続し、試聴いたしました。USBケーブルについては、現在のオーディオ市場には満足できるレベル(例えばNORDOSTのVALHALLA以上)のものが無く、純正品との比較になりました。シルバーランニングのデジタルケーブルと似た線材構造ということもあり、十分な期待のもと試聴いたしました。USBケーブルもデジタルケーブルと同じく、恐ろしく音が変わります。それは期待を全く裏切らないすばらしい音質です。SHANTI「KISS THE SUN」から「タイム・アフター・タイム」(24bit/96kHz)をかけると、すっとボーカルの澄み切った高音とリズムきざむギターのアタック音が明瞭に聞こえてきます。先ほどのデジタルケーブルを交換した以上の変化におののいてしまうと同時に、いままでの音がいかに上も下も出ていない寝ぼけた音がと驚愕するしかありません。「堀沙也香“ハイレゾで聴くチェロの豊潤な響き」(DSD 2.8MHz/1bit)も今までは、曇った音しかでないと嘆いていましたが、ワンポイントマイクの空間表現の秀逸さをはじめて理解できました。どの曲を聴いてもデメリットありません。PCオーディオをされている方々には声を大にして伝えたい。どんないい機器を持っていても、USBケーブルが悪いと性能を全く発揮できないと!

このようなすばらしいケーブルを試聴、購入させていただき、本当にありがとうございました。

 Silver RunningのデジタルケーブルはBNC端子の物もあり、クロックG-0s(ESOTERIC)にも使用しておりますが、デジタルケーブル以上の音質改善があることもご報告します。

追記

シルバーランニングのメリットばかり書きましたが、デメリットもあります。ピュアオーディオには往々としてある現象ですが、高性能な機器やケーブルはバランスを崩したシステムに追加すると、より悪化する危険があります。

ウイルソンオーディオのスピーカーを使っていたとき、超高音を伸ばすためにスーパーツイーターをつけていました。そこにSilver Runningのケーブルを導入すると音がきつくなりすぎて、音楽を聴くどころの話ではなくなってしまった経験があります。スーパーツイーターが過度に高音域のレベルを上げていることを気づかずに利用していたため、そういった現象を起こしてしまいました。Silver Runningのケーブルはハイスピード・高性能を追及したケーブルであると思います。ハイスピードと書くと一般的にはオーディオっぽい、ちょっときつめの音を思い描きますが、行き着く所はオーディオ的な過度さとは無縁なうるさくない自然界に近い音と私は理解しております。それゆえにSilver Runningのケーブルは自分のオーディオシステムの欠点を暴いてしまう恐れをはらんでいます。バランスを崩したシステムの場合、逆に情報量を下げるケーブルを使った方が耳に心地よく聞こえる場合があります。

その後、スーパーツイーターを取り外した後でSilver Runningのケーブルを使うと、見違えるようによくなりました。私たちは少しでも音を良くしようといろんなアクセサリーを追加してしまいますが、下手なものを使うくらいなら、純正のほうがまだマシだった、なんて話です。